2016年3月11日金曜日

「宇宙戦争」の頃のイギリス軍

「宇宙戦争(The War of the Worlds)」が発表されたのは19世紀末の1898年です。オリジナルタイトルが意味するように、地球人が作り上げた世界と火星人が作り上げた世界が衝突し、地球人が圧倒され逃げ惑う姿がリアルに描かれているわけですが、では、当時の地球人側の軍備とはどのようなものだったのでしょうか?

ライト兄弟による世界初の本格的有人飛行が行われたのが1903年のこと。軍用機が登場するのは第一次世界大戦(1914〜1918)からですので、1898年時点では飛行機はありませんし、当然ながら空軍はありません。従って飛行機による偵察や攻撃はまだできません。

それはまた、この時代には空からの脅威に怯えるということもなかったと言うことです。次々と空から敵の円筒(シリンダー)が降ってくるという恐怖は、私たちの想像以上に大きかったことでしょう。

物語中にも登場しますが、当時の陸軍の主要火器は大砲です。例えば1894年から王立騎馬砲兵隊への配備が開始されたオードナンス12ポンド砲は、砲身重量305kg、全長108,5cm、最大射程3700ヤード(3383m)でした。移動が大変だったので、騎兵が馬で牽引する騎馬砲兵隊が編成されました。


オードナンス12ポンド砲

さらに本文中でも名前が出てくるマクシム砲(マキシム機関銃)が配備されたのもこの頃です。これは1884年に作られた世界初の全自動式機関銃で、重量27kg、全長107,9cm(銃身長67,3cm)、毎分500発の射撃が可能でした。

マクシム砲

イギリス海軍は、当時世界最大の艦隊戦力を持っていた時期です。1895年に就航したマジェスティック級艦などの装甲艦が配備されていましたが、「宇宙戦争」では主戦場が内陸地なので、唯一交戦するのは衝角艦“サンダーチャイルド”です。これは衝角(しょうかく:体当たり攻撃用の固定武装)を艦首に装備した小型高速の艦艇です。

このように当時のイギリス軍は軍事力的には世界のトップだったのです。だからこそそれは“世界対世界”の戦いだと言えたわけです。そのイギリス軍が負けることは人類が負けること、という説得力があったわけですね。